
バンコクのBTS車内で起きた、イタリア人学生グループとタイ人女性乗客のトラブルが大きな話題になりました。
発端は、学生グループが車内で大きな声を出していたことです。
近くにいたタイ人女性が静かにするよう求めたところ、学生側が侮辱的な言葉を返し、一部の学生が中指を立てるジェスチャーをしました。
その様子を撮影した動画がSNSで拡散。
批判は学生本人だけでなく、学校や旅行関係者、在タイ・イタリア大使館にまで広がりました。
最終的に、学生5人と引率者1人が警察署で女性へ直接謝罪。学生5人にはそれぞれ1,000バーツの罰金が科され、中指を立てた学生には追加で1,000バーツが科されました。
ただし、ここで誤解しないようにしたい点があります。
学生たちは、BTS車内で声が大きかったことだけを理由に罰金を科されたわけではありません。
警察が処分の対象としたのは、相手を面前で侮辱した行為と、公衆の場で行った不適切なジェスチャーです。
今回は、車内で何が起きたのか、なぜ大使館が謝罪する事態になったのか、罰金はいくらだったのか、旅行中に似たトラブルへ巻き込まれた場合はどう対応すればよいのかを整理します。
動画でも解説しています
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。
今回のバンコクBTS車内のトラブルについては、YouTubeでも解説しています。
動画で確認したい方はこちらをご覧ください。
BTS車内で何が起きた?
トラブルが起きたのは、バンコク市内を走るBTSスカイトレインの車内です。
イタリア人の学生グループが車内で大きな声を出していたため、近くにいたタイ人女性が、もう少し静かにするよう求めました。
学生たちが声を小さくしていれば、その場で終わる出来事だったと思います。
しかし、注意を受けた学生側の一部が女性へ失礼な言葉を返し、口論へ発展しました。
拡散された映像では、中指を立てる行為も確認されました。
さらに学生側からは、
「あなたの国へお金を持ってきて申し訳ない」
という趣旨の発言もあったと報じられています。
この発言は、
「観光客としてタイでお金を使っているのだから、多少迷惑をかけても許される」
という意味に受け取られ、タイ国内で強い反発を招きました。
最初は車内の声量をめぐる問題でしたが、相手を侮辱する言葉やジェスチャーが加わったことで、単なる公共交通のマナー問題では済まなくなりました。
注意された後の対応で問題が拡大
旅行中に友人同士で盛り上がり、気づかないうちに声が大きくなることはあると思います。
問題は、注意を受けた後の対応です。
「すみません。気をつけます」
と謝り、声を小さくすれば、周囲とのトラブルにはなりにくいでしょう。
しかし今回の事例では、注意をした女性へ言い返し、侮辱的な言葉や中指を立てる行為にまで発展しました。
タイ警察は、外国人旅行者を歓迎するとしたうえで、タイを訪れる人もタイの法律を守り、現地の文化や習慣を尊重しなければならないと説明しています。
また、人前での侮辱、差別的な発言、公衆の場でのわいせつ・不適切なジェスチャーは、刑事責任を問われる可能性があると警告しました。
車内の動画がSNSで急速に拡散

口論の様子はスマートフォンで撮影され、SNSへ投稿されました。
動画が広がると、タイ国内では学生たちの態度に対する批判が急速に増えました。
特に批判されたのは、
- 注意した女性を侮辱したこと
- 中指を立てたこと
- 観光消費を理由にタイを見下したような発言
- 引率者が同行していたにもかかわらず問題を止められなかったこと
などです。
SNS利用者の一部は、学生が所属する学校や、旅行を手配した団体、在タイ・イタリア大使館のアカウントへも説明を求めました。
数分間の車内トラブルが、当事者同士だけの問題ではなく、国籍や外交上のイメージにまで関係する騒動へ変わったわけです。
SNSへ投稿された動画は、当事者が想像する以上の速さと範囲で拡散します。
その場では軽い言い争いのつもりでも、映像として残れば、世界中の人から見られる可能性があります。
イタリア大使館が公式に謝罪
事態を受け、在タイ・イタリア大使館はイタリア語、英語、タイ語による声明を公表しました。
大使館は、動画に映った学生グループの行為に深い遺憾の意を示し、不適切な行動を強く非難しました。
また、今回の学生たちの行動は、イタリア国民全体を代表するものではなく、イタリアとタイの関係を支えてきた相互尊重、友好、礼儀の価値にも反するものだと説明しています。
大使館は学校や引率者とも連絡を取り、学生側からタイ国民へ謝罪する対応を進めました。
通常、公共交通の車内で起きた口論に大使館が関与することは多くありません。
今回は動画が広範囲に拡散し、
「一部の学生の行動がイタリア人全体の態度として受け取られる」
可能性が生まれたため、大使館も早い段階で公式な対応を行ったと考えられます。
海外では一人の行動が国全体の印象になる
海外旅行中は、自分の行動が個人だけの問題として扱われない場合があります。
現地の人から見れば、
「日本人旅行者がこのような行動をした」
「イタリア人学生が現地の人を侮辱した」
という国籍を含む印象として残ることがあります。
もちろん、一人の行動だけで国民全体を判断するべきではありません。
しかしSNSでは、個人の問題よりも、
「外国人旅行者が現地で問題を起こした」
という見出しの方が広がりやすい傾向があります。
旅行者一人の態度が、同じ国から来る別の旅行者への印象にも影響する可能性があることは、覚えておいた方がよいでしょう。
タイ人女性が警察へ被害を届け出
動画の拡散後、タイ人女性はバンコクのサムレー警察署へ被害を届け出ました。
女性は当初、学生側が公開した一般的な謝罪だけではなく、直接侮辱を受けた本人に対する誠実な謝罪を求めていたと報じられています。
2026年7月25日、動画に映っていた学生5人と引率者1人が、通訳を伴ってサムレー警察署を訪れました。
警察署では1時間以上にわたり話し合いが行われ、学生たちは自分たちの行動が不適切だったことを認めました。
警察署で女性とタイ国民へ謝罪
学生5人と引率者は、タイ式に両手を合わせる「ワイ」を行い、女性へ直接謝罪しました。
学生側は、被害女性だけでなく、女性の家族とタイ国民に対しても謝罪したと報じられています。
引率者も、学生たちがタイの文化や習慣を尊重していると説明し、今回の行動について遺憾の意を示しました。
女性は謝罪を受け入れ、双方はこれ以上法的措置を求めず、問題を終わらせることで合意しました。
関係する写真や動画についても削除することで合意したとされています。
学生5人にそれぞれ1,000バーツの罰金
警察は学生5人について、相手の面前で侮辱した行為を理由に、それぞれ1,000バーツの罰金を科しました。
さらに、中指を立てるジェスチャーをした学生には、公衆の場で不適切な行為をしたとして、追加で1,000バーツの罰金が科されています。
その学生だけは、合計2,000バーツの罰金となりました。
日本円換算額は為替によって変わりますが、罰金額だけを見れば、それほど大きな金額ではないと感じる人もいるでしょう。
しかし、今回学生たちが負った負担は罰金だけではありません。
- 顔や行動がSNSで広がった
- 警察署へ出頭した
- 被害女性へ直接謝罪した
- 大使館が公式声明を出した
- 学校や引率者にも対応が求められた
- 旅行や研修の日程に影響した可能性がある
- 帰国後も映像が残る可能性がある
こうした影響を考えると、実際の代償は罰金額よりも大きいといえます。
「車内で騒いだだけで罰金」ではない
今回のニュースを見る際、最も注意したい点です。
学生たちは、電車内で声が大きかったことだけを理由に、1,000バーツの罰金を科されたわけではありません。
大きな声がトラブルのきっかけになったことは事実です。
しかし、警察が処分の対象としたのは、女性を侮辱した行為と、公衆の場で行った不適切なジェスチャーです。
したがって、
「タイの電車では少し話しただけで罰金になる」
という理解は正確ではありません。
普通の声量で会話することと、注意した相手へ暴言を吐いたり、中指を立てたりすることは別の問題です。
女性側も強い言葉を返したとされる
口論が激しくなる中で、タイ人女性側も学生たちへ強い言葉を返した場面があったと、一部の報道や映像では伝えられています。
学生側の行為だけでなく、口論全体について意見が分かれる部分もあります。
ただし、女性が言い返したことによって、学生側の侮辱や不適切なジェスチャーが問題ではなくなるわけではありません。
相手から失礼なことを言われれば、言い返したくなるのは自然です。
しかし、双方が強い言葉を使い始めると、
「最初は誰が悪かったのか」
だけではなく、
「それぞれがどこまで相手を侮辱したのか」
という別の問題が生まれます。
旅行中の安全を考えれば、口論で勝とうとするより、駅員や警備員へ相談する方が適切です。
トラブルになったら直接言い争わない
電車内で迷惑行為をしている人がいた場合、必ず自分で注意しなければならないわけではありません。
相手が興奮している場合や、複数人のグループの場合は、直接注意することで状況が悪化する可能性があります。
安全を優先し、次のように対応してください。
- 別の車両へ移動する
- 次の駅で電車を降りる
- 駅員へ相談する
- 警備員へ伝える
- 周囲の乗客へ助けを求める
- 暴力の危険がある場合は警察へ連絡する
動画を撮影する場合も、相手へ近づきすぎないようにしてください。
撮影していることに気づいた相手が、スマートフォンを取り上げようとしたり、暴力的になったりする可能性があります。
注意された側は、まず声を小さくする
自分が注意された場合は、相手の言い方が気に入らなかったとしても、まず状況を確認してください。
周囲の人が振り返っている。
友人同士の声が車内全体へ響いている。
スマートフォンの音声が大きい。
このような状態なら、一度声や音量を下げる方が安全です。
英語で詳しく説明する必要はありません。
Sorry.
We’ll keep it down.
と伝えるだけで十分です。
納得できない点があっても、車内で長時間言い争う必要はありません。
BTSは観光施設ではなく生活交通
BTSはバンコクを観光する旅行者にとって便利な交通手段です。
しかし、現地の人にとっては、
- 仕事へ行く
- 学校へ行く
- 病院へ行く
- 買い物へ行く
- 疲れて家へ帰る
ために使う日常の公共交通です。
友人同士で楽しく旅行をしていると、普段より声が大きくなることがあります。
ただし、車内全体に響くほどの大声や、スマートフォンから大きな音を流す行為は、現地の利用者にとって迷惑になる可能性があります。
自分たちにとっては楽しい旅行でも、周囲の人にとってはいつもの通勤や帰宅時間です。
「お金を使っているから偉い」は通用しない
今回、特に批判を集めたのが、
「あなたの国へお金を持ってきて申し訳ない」
という趣旨の発言です。
旅行者が現地でホテル、飲食店、交通機関、観光施設を利用すれば、その国の経済に一定の貢献をすることはあります。
しかし、お金を使っていることは、現地の人へ失礼な態度を取ってよい理由にはなりません。
旅行者はサービスの利用者であると同時に、その国へ滞在させてもらっている立場でもあります。
現地の法律や公共交通のマナーを守る必要があります。
SNS上の集団攻撃も問題に
動画が拡散した後、学生たちへの批判は急速に激しくなりました。
一部では、
- 学生の個人情報を探す
- 学校や宿泊施設を特定する
- 関係者へ大量のメッセージを送る
- 脅迫的な言葉を投稿する
- 学生たちを追跡しようとする
といった動きも報じられています。
タイ警察は、SNS上で個人を集団で攻撃したり、脅迫や嫌がらせを行ったりする行為も、法律上の問題になる可能性があると警告しました。
被害女性も、学生たちは謝罪し、罰金を支払ったとして、これ以上学生たちを攻撃しないよう求めています。
批判と私刑は別の行為
問題行動を批判することと、個人情報を探し出して継続的に攻撃することは別です。
事実関係を確認し、行動について意見を述べることはできます。
しかし、
- 自宅や宿泊先を公開する
- 家族や学校関係者を攻撃する
- 暴力をほのめかす
- 大量のメッセージを送り続ける
- 謝罪や処分後も追跡する
といった行為は、今度は攻撃する側が加害者になる可能性があります。
SNSで多くの人が批判しているからといって、どのような攻撃でも許されるわけではありません。
旅行者が覚えておきたい4つのこと

車内では周囲の声量に合わせる
現地の乗客が静かにしている場合は、自分たちの会話も少し小さくします。
注意されてもすぐに言い返さない
相手の言い方が気になっても、まず声を下げて状況を終わらせます。
不適切なジェスチャーをしない
中指を立てるなどの行為は、国によっては侮辱や公然わいせつなどの問題として扱われる可能性があります。
危険を感じたら駅員へ相談する
自分で相手を説得したり、口論に勝とうとしたりせず、公共交通のスタッフへ対応を求めます。
最も安いトラブル対策は早めに謝ること
個人的には、今回の事件で最も問題だったのは、車内で声が大きくなったことより、注意された後の対応だったと思います。
旅行中にテンションが上がり、声が大きくなることは誰にでも起こり得ます。
そこで、
「すみません。気をつけます」
と一言伝えるか、
「自分たちは旅行者としてお金を使っている」
と言い返すかで、その後の結果は大きく変わります。
早い段階で謝れば、
- 警察へ行かない
- 罰金を科されない
- 大使館が声明を出さない
- SNSで顔が広がらない
- 学校や家族へ影響しない
可能性が高かったでしょう。
謝罪には料金も登録も必要ありません。
旅行中のトラブルを最小限にする、最も簡単な方法の一つです。
まとめ:罰金の理由は侮辱と不適切なジェスチャー
今回は、バンコクのBTS車内で起きた、イタリア人学生グループとタイ人女性乗客のトラブルを紹介しました。
学生グループが車内で大きな声を出していたため、女性が静かにするよう求めたところ、口論へ発展。
学生側の一部が侮辱的な発言を行い、中指を立てる行為も確認されました。
動画がSNSで拡散され、在タイ・イタリア大使館は学生たちの行動を非難し、タイ国民へ謝罪しました。
2026年7月25日には、学生5人と引率者1人がサムレー警察署で女性へ謝罪しました。
学生5人には、それぞれ1,000バーツの罰金。
中指を立てた学生には、さらに1,000バーツが追加され、合計2,000バーツとなりました。
罰金の理由は、単に車内で大声を出したことではありません。
相手を面前で侮辱した行為と、公衆の場での不適切なジェスチャーです。
双方は問題を終わらせることで合意し、被害女性と警察は、SNS上で学生たちを攻撃し続けないよう呼びかけています。
今回の出来事から旅行者が覚えておきたいことは、シンプルです。
公共交通では周囲へ配慮する。
注意されても、すぐに言い返さない。
自分に非があれば、早めに謝る。
SNSで当事者を必要以上に攻撃しない。
旅行先でお金を使っているからといって、現地の人より偉くなるわけではありません。
訪問している国の法律、文化、日常生活を尊重することが、旅行者にとって最も基本的なマナーです。
皆さんは、海外の電車やバスで、旅行者の声が大きすぎると感じたことがありますか?
また、自分が注意された場合、どのように対応するのがよいと思いますか?
実際に海外の公共交通でトラブルを経験した方は、ぜひコメントで教えてください。
参考情報
出典:Thai PBS「イタリア人学生と引率者が警察署で謝罪」
出典:The Nation Thailand「Italian students apologise as BTS dispute ends following fines」
出典:イタリア大使館声明に関するANSA通信の報道
出典:タイ警察「侮辱的発言や不適切なジェスチャーへの法的対応」
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。



