
タイに長く住んでいる人や、バンコクを何度も訪れている人には馴染みのあるスーパー、
「MaxValu(マックスバリュ)」
に大きな変化があります。
イオンは2026年8月7日、タイでMaxValuなどの食品スーパーを運営するAEON (Thailand) CO., LTD.の全株式を、Central Retail傘下のCentral Food Retailへ譲渡することを決定したと発表しました。
株式譲渡日は2026年9月30日の予定です。
AEON Thailandが運営しているMaxValu系スーパーは30店舗あり、Central Retail側は取引完了後、全30店舗を「Tops」ブランドへ転換し、自社の食品小売ネットワークへ統合する計画を示しています。
つまり今後、タイで見慣れてきたMaxValuの看板は姿を消していくことになります。
ただし、
「イオンがタイから完全撤退する」わけではありません。
イオンは今後もタイで金融、エンターテインメント、ヘルス&ウェルネス分野などの事業を継続する方針です。
一方で、イオンがASEANで今後特に力を入れるのが、
ベトナム
です。
イオンはベトナムをASEANの最重点市場として位置付け、2030年度に向けて事業規模を大きく拡大していく計画を進めています。
動画でも解説しています
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。
タイのMaxValu売却と、イオンが今後ベトナムへ投資を集中させていく背景について動画でも解説しています。
イオンがタイのMaxValu事業を売却

イオンが今回売却するのは、タイで食品スーパー事業を展開してきた連結子会社、
AEON (Thailand) CO., LTD.
です。
譲渡先は、タイ最大級の流通グループCentral Retail Corporation(CRC)傘下の、
Central Food Retail Company Limited
です。
Central Food Retailは、
- Tops
- Tops Food Hall
- Tops Daily
- Tops Online
- Tops Care
などを展開しています。
イオンとCentral Food Retailは2026年8月7日に株式譲渡契約を締結。
予定通り進めば、
2026年9月30日にAEON Thailandの全株式がCentral Food Retailへ譲渡されます。
対象はタイ国内のMaxValu30店舗
Central Retail側の説明によると、AEON Thailandはタイ国内で30店舗のMaxValu系スーパーマーケットを運営しています。
報道では、MaxValuと小型業態のMaxValu Tanjaiが対象とされています。
そのため今回の取引が完了すると、
タイでイオンが展開してきた食品スーパー事業はCentral Retail側へ移る
ことになります。
タイで長く生活している人にとっては、かなり大きな変化でしょう。
30店舗は今後「Tops」へ転換予定
では、現在のMaxValu店舗は閉店してしまうのでしょうか。
現時点で示されている計画は、
店舗をすべてなくすのではなく、Topsブランドへ転換する
というものです。
Central Retail側は、取引完了後に30店舗すべてをTopsへ転換し、Central Food Retailの既存ネットワークへ統合する方針を示しています。
つまり、
MaxValu → Tops
という形になる可能性が高いわけです。
ただし、ここは少し注意が必要です。
2026年8月17日時点では、株式譲渡予定日は9月30日ですが、
「10月1日から30店舗が一斉にTopsになる」など、店舗ごとの具体的なブランド変更日は公表されていません。
そのため、今後段階的に店舗改装や看板変更が行われる可能性があります。
タイのイオンが全部なくなるわけではない

今回のニュースだけを見ると、
「イオンがタイから撤退する」
と思うかもしれません。
しかし、正確には、
タイの食品スーパー事業から撤退する
という話です。
イオンは公式発表の中で、今後のタイ事業について、
- 金融
- エンターテインメント
- ヘルス&ウェルネス
を中心に収益向上を図るとしています。
したがって、
MaxValuがなくなる=タイからイオングループ全体が消える
ではありません。
ここは今回のニュースで最も誤解しやすいポイントです。
イオンはタイで42年間スーパーを展開してきた
イオンのタイ進出はかなり古く、
1984年
にまでさかのぼります。
当時、AEON Thailandの前身となる、
「Siam Jusco(サイアムジャスコ)」
を設立しました。
それから2026年まで、およそ42年間にわたってタイで小売事業を展開してきました。
その後、MaxValuブランドを中心とした食品スーパーへと展開していき、バンコクなどでは日本人にも馴染みのあるスーパーとなりました。
そのため、長期滞在者にとって今回の売却は、
一つの時代が変わるニュース
と感じる人もいるかもしれません。
「日本人が減ったから撤退」は公式な理由ではない
動画内では、
「日本人向けという部分もあったので、日本人が減った影響もあるのではないか」
という話もしています。
これは在住者として感じる一つの見方としてはあり得ます。
ただし、
イオンは今回の公式発表で、日本人居住者の減少を売却理由として挙げていません。
公式に説明されているのは、
2026年度~2030年度の中期経営計画に基づき、重点事業へ経営資源を最適配分し、事業ポートフォリオを見直している
ということです。
そのため記事としては、
「日本人が減ったためMaxValuを撤退した」
と断定するのは避けた方がいいでしょう。
Central Retail側にとっては30店舗を一気に増やせる
一方、買収するCentral Retail側から見ると、今回の取引には大きなメリットがあります。
Central Retailによると、30店舗を取得することで、
90万人を超える顧客基盤
を一度に取り込めるとしています。
さらに今回の取引には店舗だけでなく、
総菜などを製造するReady-to-Eat Processing Center
なども含まれています。
Central Retail側は、これらをTopsの調達、物流、商品開発などへ統合することで食品小売事業を強化する狙いです。
つまり今回の取引は、
イオン側にとっては事業ポートフォリオの整理
である一方、
Central Retail側にとってはTopsの店舗網を一気に拡大できる買収
でもあります。
タイはスーパーの選択肢が非常に多い
タイで生活したことがある人なら分かると思いますが、食品スーパーの選択肢はかなり豊富です。
代表的なところだけでも、
- Tops
- Lotus’s
- Big C
- Makro
- Foodland
- Villa Market
- Gourmet Market
などがあります。
さらに小型店やコンビニまで含めると、日常の買い物をする場所は非常に多くあります。
そのためMaxValuは、
多数の競合が存在する市場で戦ってきた
ことになります。
今回買収するCentral Food Retail自身もTopsという大きな食品小売ネットワークを持っています。
Central Retailは今回の買収目的について、戦略的な立地に店舗網を拡大し、食品事業を強化することだと説明しています。
そしてイオンが力を入れるのがベトナム

タイで食品スーパー事業を整理する一方、
イオンはベトナムへの投資を大きく増やそうとしています。
イオン自身も2026年8月7日のタイ事業売却発表の中で、
ベトナムをASEANの最重点国
と明記しています。
そして2026年7月に報じられた中期戦略では、
ASEAN向け投資額のおよそ60%をベトナムへ振り向ける
計画です。
これはかなり大きな割合です。
タイのスーパー事業を縮小するニュースと、ベトナムへの投資拡大は、
イオンがASEANでどこへ経営資源を集中させるのか
という大きな戦略の中で見る必要があります。
2030年までにベトナム事業を約3倍へ
イオンは2026年から2030年にかけて、
ベトナム事業の規模を約3倍に拡大する方針
を示しています。
ただし、
「MaxValuを単純に3倍にする」
という意味ではありません。
イオンはベトナムで、
- AEON Mall
- 総合スーパー
- 食品スーパー
- 中小型店舗
- 商品開発
- サプライチェーン
- 小売エコシステム
などを含めたマルチフォーマット戦略を進めています。
つまり大型ショッピングモールだけでなく、
住宅地に近い小型店まで含め、複数の業態でベトナム市場を取りにいく
という考え方です。
AEON Mallは9施設から30施設を目標
特に大きな目標がAEON Mallです。
2026年7月時点で、イオンモールはベトナムで9施設を展開しており、
2030年度までに30施設へ増やすことを目指しています。
単純計算すると現在の3倍以上です。
また、従来の大型モールだけではなく、地域の人口や購買力に合わせた中規模施設や複合開発型の店舗も活用する計画です。
2026年7月には、
AEON Mall Da Nang Thanh Khe
もオープンしました。
これまでハノイやホーチミンなど大都市中心だった展開が、地方都市へ広がっていく可能性があります。
ベトナム売上高3000億円超を目指す
イオンのベトナム事業は現在も成長していると報じられています。
VietnamPlusによると、モールや総合スーパーなどを含むベトナム事業の売上高は年間約25%のペースで伸びており、
2030年度には3000億円を超える売上高
を目指しています。
イオンがASEAN投資の約60%をベトナムへ振り向ける背景には、こうした成長期待があります。
「ベトナムでMaxValuが増える」とは限らない
動画内では、
「今後ベトナムでMaxValuが増えていくのかな」
という話もしています。
方向性としては、小型食品スーパーを含めて店舗数を増やすことはイオンの戦略と一致しています。
ただし、
現時点で公表されている計画を「MaxValuブランドが大量に増える」と限定して理解するのは正確ではありません。
イオンが掲げているのは、
大型モールから総合スーパー、中小型の食品店までを組み合わせるマルチフォーマット展開
です。
今後どのブランド・業態がどの都市へ出店するのかは、個別の発表を確認する必要があります。
ベトナムは日本企業にとって重要な消費市場へ
今回のニュースで興味深いのは、
タイから撤退するという単純な話ではなく、ASEANの中で投資先を組み替えている
ことです。
イオンはタイで42年間展開してきた食品スーパー事業を売却する一方、ベトナムにはASEAN投資の約6割を集中させます。
企業として見れば、
成熟した市場で事業を見直し、より成長余地が大きいと判断した市場へ資本を移す
という選択と見ることができます。
旅行者や在住者からすれば、
「いつも使っていたスーパーがなくなる」
という身近なニュースですが、企業戦略として見ると東南アジアの小売市場の変化を象徴する動きでもあります。
MaxValu利用者は今後どうなる?
現時点では、店舗そのものを30店舗すべて閉鎖する計画ではありません。
Central Retailは取得した店舗を、
Topsへ転換して営業を続ける方針
です。
そのため、
「近所のスーパーそのものがなくなってしまう」
とは限りません。
一方でブランド変更に伴って、
- 商品構成
- 日本食品の品揃え
- プライベートブランド
- ポイント制度
- 店舗レイアウト
- 営業時間
などが変更される可能性があります。
このあたりは今後、Central Retailや各店舗から発表される情報を確認する必要があります。
日本食品の品揃えがどうなるかも気になる
タイ在住日本人にとって特に気になるのは、
MaxValuで扱っていた日本食品がどうなるのか
でしょう。
Topsにも輸入食品や日本商品は多数ありますが、MaxValuとは品揃えや価格帯が異なります。
今回の買収ではAEON Thailandの事業そのものをCentral Food Retailが承継するため、すべての商品が一夜にしてなくなるとは限りません。
しかし最終的な商品構成はTops側の戦略に合わせて変更されていく可能性があります。
在住者にとっては、
MaxValuからTopsへ変わった後、日本の商品がどれだけ残るのか
も注目ポイントでしょう。
タイで残るイオン事業にも注意
「MaxValuがなくなる」というニュースだけが大きく取り上げられると、
イオンという企業自体がタイから消える
ように見えてしまいます。
しかし、イオンの公式発表では明確に、
タイでは金融、エンターテインメント、ヘルス&ウェルネス事業を中心に収益向上を図る
としています。
そのため今回の動きは、
タイ市場からの全面撤退ではなく、食品スーパーから別の事業分野へ軸足を移す再編
と考える方が適切です。
今後確認したいポイント
今回の取引について、今後特に確認したいのは、
- 9月30日に予定通り株式譲渡が完了するか
- 30店舗がいつTopsへ切り替わるか
- Tops SupermarketとTops Dailyのどちらになるか
- 店舗名や営業時間がどう変わるか
- 日本食品の品揃えが維持されるか
- MaxValu独自の商品がどうなるか
- 従業員やサービスがどう引き継がれるか
といった点です。
Central Retailは店舗をTopsへ転換する方針を示していますが、店舗ごとの具体的な改装日程などは2026年8月17日時点では確認できません。
利用している店舗がある人は、今後の店頭案内も確認しておくといいでしょう。
まとめ:タイのMaxValuはTopsへ、イオンはベトナムを最重点市場に
イオンは2026年8月7日、タイで食品スーパーを運営するAEON Thailandの全株式を、Central Retail傘下のCentral Food Retailへ売却する契約を締結しました。
株式譲渡予定日は2026年9月30日です。
AEON Thailandが運営するMaxValu系スーパーは30店舗。
Central Retailは取引完了後、
全30店舗をTopsブランドへ転換する計画
を示しています。
ただし、
イオンがタイから完全撤退するわけではありません。
タイでは金融、エンターテインメント、ヘルス&ウェルネス事業などを引き続き展開します。
一方、今後イオンがASEANで最も力を入れるのがベトナムです。
ベトナムにはASEAN向け投資の約60%を振り向ける計画で、2030年に向けて事業規模を大幅に拡大します。
AEON Mallについては現在の9施設から、
2030年度までに30施設
を目指しています。
つまり今回のニュースは、
「イオンがタイからいなくなる」
という単純な話ではありません。
タイでは食品スーパー事業をCentralへ渡し、別事業に集中する。
一方、ASEANでの成長投資はベトナムへ大きく振り向ける。
という事業戦略の転換です。
タイで長くMaxValuを利用してきた人にとっては少し寂しいニュースですが、今後Topsへ変わった店舗がどのような品揃えになるのか。
そしてベトナムでイオンがどこまで店舗網を広げていくのか。
旅行者、在住者の両方にとって注目していきたいところです。
参考情報
出典:イオン株式会社「AEON (Thailand) CO., LTD.の株式譲渡について」
出典:The Nation Thailand「Central Retail to acquire 30 MaxValu stores in Thailand」
出典:Tuoi Tre News「AEON shifts focus to Vietnam after exiting Thai supermarket business」
出典:VietnamPlus「AEON plans 30 malls in Vietnam, earmarks 60% of ASEAN investment」
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。




