
今回は、ベトナムの「食」に関する気になるニュースを2つ紹介します。
一つ目は、ベトナム人がどれほどインスタント麺を食べているのかという話。
2025年、ベトナムの1人当たり即席麺消費量は年間約81食となり、世界1位になりました。
インスタント麺大国というイメージが強い韓国を上回っています。
そして二つ目は、リゾート都市ニャチャンの海鮮店で、SNS上の動画をきっかけに行政当局が抜き打ち検査を行い、複数の食品衛生違反が確認されたニュースです。
「人気がある店だから安心」「人がたくさん食べているから安全」とは必ずしも言い切れません。
旅行中に飲食店を選ぶときに確認したいポイントもあわせて整理します。
動画でも解説しています
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。
ベトナムの即席麺消費量が世界トップになったニュースと、ニャチャンの海鮮店で確認された食品衛生違反について動画でも紹介しています。
記事とあわせて確認してみてください。
ベトナムは即席麺を年間82億3,100万食

世界ラーメン協会(World Instant Noodles Association/WINA)が2026年8月に更新した統計によると、2025年にベトナムで消費された即席麺は82億3,100万食でした。
国・地域別の総消費量では世界4位です。
- 1位:中国・香港 432億6,800万食
- 2位:インドネシア 145億4,000万食
- 3位:インド 96億100万食
- 4位:ベトナム 82億3,100万食
- 5位:日本 59億5,200万食
人口規模の大きい中国やインドネシアには及ばないものの、ベトナムの消費量が非常に大きいことが分かります。
1人当たりではベトナムが世界1位
さらに驚くのが、人口1人当たりで計算した数字です。
1位:ベトナム 約81食/年
2位:韓国 約79食/年
3位:タイ 約60食/年
ベトナムでは平均すると、1人が4~5日に1食程度のペースで即席麺を食べている計算になります。
「インスタント麺大国」として知られる韓国を、ベトナムが1人当たり消費量で上回っています。
ベトナムでは即席麺が「食材」としても使われる
日本ではインスタント麺というと、自宅で手軽に食べる食品というイメージが強いでしょう。
しかしベトナムでは、即席麺を単独で食べるだけではなく、料理の材料として使うケースも珍しくありません。
- 即席麺を炒めた「ミーサオ」
- 野菜・肉・海鮮などを加えた麺料理
- 鍋料理の締め
- 屋台や軽食店のアレンジ料理
など、即席麺そのものが一つの食材として日常生活に入り込んでいます。
WINAも、ベトナムでは酸味とエビ系の味を組み合わせた「Tom Chua Cay」系の味が人気で、ネギ、レモン、唐辛子などを追加して食べるスタイルを紹介しています。
フォーだけではないベトナムの麺文化
ベトナムの麺料理というと、旅行者にはフォーが最も有名でしょう。
しかし実際のベトナムには、
- フォー
- ブン
- フーティウ
- ミー
- ミークアン
など多種多様な麺文化があります。
そこへ即席麺も日常的な選択肢として加わっており、ベトナムの「麺好き」が数字にも表れた形です。
もう一つのニュースはニャチャンの海鮮店

続いては、ベトナム中部のリゾート都市ニャチャンから、食品衛生に関するニュースです。
2026年8月12日、ニャチャン区人民委員会は、チャンフー通り100~102番地にある海鮮店「Thạnh Sương」の事業者に対し、食品衛生規則への違反で600万ドンの行政罰を科したことを明らかにしました。
日本円では為替によって変動しますが、おおむね数万円程度の罰金です。
きっかけは「上半身裸で調理」の映像
今回の検査につながったきっかけの一つが、SNS上などで広がった調理場の映像でした。
そこには、調理担当者が上半身に服を着けず料理を作っている様子などが映っていたと報じられています。
ただし、今回の600万ドンの処分を、
「上半身裸で料理をしたから600万ドンの罰金」
と単純化するのは正確ではありません。
行政当局が実際に抜き打ち検査を行った結果、複数の具体的な食品衛生違反が確認されました。
確認された衛生違反は3つ
当局や現地報道によると、主に次の3点です。
- 調理・販売・保管エリアへハエや害虫などが侵入していた
- 調理担当者がマスクを着用せず、調理済み食品やそのまま食べる食品に直接触れる際に手袋を使用していなかった
- 生の食品と調理済み食品の交差汚染を防ぐ厨房配置になっていなかった
特に重要なのが、生の食材と加熱済みの食品を適切に分けることです。
生肉や生の魚介類には病原微生物が付着している可能性があり、包丁、まな板、手などを介して調理済み食品へ移る「交差汚染」が食中毒の原因になることがあります。
ベトナムには飲食店の衛生ルールがある
屋台やローカル食堂を見ていると、「ベトナムでは手袋やマスクについて細かい規則はないのでは」と感じるかもしれません。
しかし、ベトナムには飲食サービスの食品安全に関する行政罰の規定があります。
例えば、調理担当者が必要な衛生措置を取らず、調理済み食品へ直接触れることや、調理エリアへの害虫の侵入、生食材と調理済み食品の交差汚染を防げていない場合などが処分対象になります。
「実際に街でよく見る光景」と「法律・衛生基準上問題がないこと」は同じではありません。
手袋をしていれば安全、というわけでもない
一方で、旅行者が店を判断するときに「手袋をしているか」だけを見るのも十分ではありません。
手袋を着用していても、そのまま現金、スマートフォン、生肉、調理済み食品を次々触っていれば、衛生的とは言えません。
重要なのは、
- 手や調理器具が清潔か
- 生肉と調理済み食品が分けられているか
- 食材が適切な温度で保管されているか
- ハエや害虫が大量に入っていないか
- 食品が長時間、暑い場所に放置されていないか
などを総合的に見ることです。
旅行者が飲食店を選ぶときのポイント

WHO(世界保健機関)は食品衛生について、
清潔に保つ
生の食品と調理済み食品を分ける
十分に加熱する
安全な温度で保存する
安全な水と食材を使う
という「食品をより安全にする5つの鍵」を示しています。
旅行者が厨房のすべてを確認することはできませんが、店頭から分かる範囲だけでも参考になります。
- 調理台やテーブルが極端に汚れていないか
- 生肉や魚介類が炎天下に長時間置かれていないか
- 料理がしっかり加熱されているか
- 地元客を含め、ある程度客の回転があるか
- 違和感を覚えたら無理して食べない
「混んでいる店なら絶対安全」でもない
客の回転が速い店は、食材が長時間放置されにくいという一つの判断材料にはなります。
しかし、混雑しているから必ず衛生管理が優れているとは限りません。
今回のニャチャンのケースも、観光地の海鮮店で実際に行政検査が入り、衛生上の問題が確認されています。
口コミ数や行列だけで判断せず、店の状態も見て選ぶのがいいでしょう。
生もの・海鮮は特に状態を確認
ベトナム旅行では海鮮料理も大きな楽しみの一つです。
だからといって「海外では生ものを絶対に食べてはいけない」と一律に考える必要はありません。
重要なのは、その店が食材を適切に保存・調理しているかどうかです。
特に旅行中にリスクを抑えたい場合は、魚介類、肉、卵などは十分に加熱されたものを選ぶと安心です。
体調が弱っているときや、翌日に長距離移動を控えている場合などは、無理に生ものへ挑戦しない判断もありでしょう。
フルーツやスムージーも「水と器具」がポイント
暑いベトナムではフルーツジュースやスムージーも人気です。
スムージーそのものが危険というわけではありませんが、生の果物、氷、水、包丁、まな板、ミキサーなど複数の要素が関係します。
WHOも安全な水と原材料を使うこと、調理器具や表面を清潔に保つことを食品衛生の基本として挙げています。
気になる場合は、清潔に管理されている店舗を選ぶ、氷や水の扱いが不明な店では慎重になる、といった判断が現実的です。
【追加情報】今回の店は過去にも行政処分
今回600万ドンの行政罰を受けた「Thạnh Sương」については、過去にも行政処分を受けていたことが現地紙の取材で確認されています。
カインホア省の地元紙によると、2024年4月には価格などをめぐる問題や、地元の有名店「Thanh Sương」に似た名称を使っていたことなどをめぐり、合計3,400万ドン超の行政処分を受けました。
さらに2025年7月にも、看板や価格表示が不明瞭だったこと、食品安全条件を満たす証明書がなかったことなどで2,100万ドンの行政罰を受けています。
今回が初めての行政処分ではありません。
なお、今回処分された「Thạnh Sương」と、ニャチャンで知られる「Thanh Sương」は別の名称です。似ているため混同しないよう注意してください。
まとめ:ベトナムの食文化を楽しみつつ衛生面も確認
今回取り上げたベトナムの食ニュースは2つです。
① 即席麺
2025年の消費量は82億3,100万食で世界4位。1人当たりでは年間約81食となり世界1位。
② ニャチャンの海鮮店
食品衛生上の3つの違反が確認され、600万ドンの行政罰。上半身裸だったことだけが処分理由ではない。
ベトナム旅行では、ローカル食堂や屋台の食文化そのものが大きな魅力です。
必要以上に怖がる必要はありませんが、調理環境や食材の扱いを少し見るだけでも、旅行中のリスクを減らす判断材料になります。
「ローカルだから危険」「有名店だから安全」と決めつけず、目の前の店の状態を見て判断することが大切です。
参考情報
- World Instant Noodles Association(WINA)「Global Demand for Instant Noodles 2025」
- World Instant Noodles Association「Instant noodles once a week!」
- Báo Khánh Hòa「Thạnh Sương seafood restaurant fined over food-safety violations」
- Dân trí「Nha Trang restaurant inspection finds three food-safety violations」
- ベトナム政府「Decree 115/2018/NĐ-CP」
- World Health Organization「Five Keys to Safer Food」
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。




