
ベトナム旅行中、市場や衣料品店で有名ブランドのロゴが付いた商品を格安で見かけることがあります。
しかし、「安いお土産だから」と気軽に購入する前に注意が必要です。
ハノイで、D&G、Louis Vuitton、Dior、Gucci、Nike、Adidasなどの商標を付した衣料品2,575点が摘発され、その後、店主が知的財産権侵害の疑いで立件されました。
今回の事件は、ベトナム当局が偽ブランド品や知的財産権侵害への取り締まりを強化する中で起きたものです。
旅行者側も「普通に売っているから大丈夫」と考えず、偽ブランド品には手を出さないのが最も安全です。
動画でも解説しています
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。
ハノイで大量の偽ブランド衣料品が摘発された今回のニュースについて、事件の概要やベトナムでの取り締まり、日本へ持ち帰る際の注意点を動画でも紹介しています。
記事とあわせて確認してみてください。
ハノイで偽ブランド衣料品2,575点を摘発

摘発が行われたのは2026年6月23日です。
ハノイ市の市場管理隊第8チームとフードン地区警察が、ニンヒエップ工業団地内の衣料品販売店を検査しました。
そこで確認されたのが、合計2,575点の衣料品です。
- D&G
- Louis Vuitton
- Dior
- Gucci
- Nike
- Adidas
など、ベトナム国内で保護されている有名ブランドの商標を付した商品でした。
当局は、これらの商品に商標偽造の疑いがあるとして全量を一時押収しました。
表示価格の総額は約2億6,440万ドン
当局によると、対象商品の表示価格を合計すると約2億6,440万ドンでした。
さらに店主は、商品の合法的な仕入れ先や出所を証明する請求書・証憑を提示できませんでした。
店舗自体についても、規定に沿った事業者登録が行われていなかったと報じられています。
なお、一部の説明で見られる「1点あたり1万~1万5千ドンを上乗せして販売していた」という具体的な利益額については、今回確認できた当局発表では確認できませんでした。
そのため本記事では、確認できた表示価格総額と仕入れ証憑の有無を中心に整理しています。
その後、店主を知的財産権侵害容疑で立件
6月の摘発当初は、「偽造商標の疑いがある商品」として押収・調査が進められていました。
その後、ハノイ警察が捜査を進め、店主について工業所有権侵害の疑いで事件化しました。
ベトナム公安省も2026年8月、同地域で摘発された複数の偽ブランド事件について、被疑者を立件したことを公表しています。
「偽物が市場で普通に売られているから取り締まりも緩い」という状況ではありません。
ベトナムは偽ブランド取り締まりを強化中
今回の2,575点だけが特別なケースというわけではありません。
ベトナムでは2026年、政府の指示を受けて、偽造品や知的財産権侵害商品への集中取り締まりが行われています。
同じフードン地区でも、別の店舗から1,040点のバッグや財布などが押収され、その後、店主が立件されています。
さらに別の店舗では、Nike、Adidas、Burberry、Louis Vuittonなどの商標を付した6,000点以上の靴類が摘発されました。
2026年は、ベトナム当局が偽造品・模倣品への取り締まりを明確に強化している時期です。
ベンタン市場などで見かけても「合法」とは限らない
ホーチミン市のベンタン市場をはじめ、ベトナムの観光地では、有名ブランドを思わせるロゴ入りTシャツ、バッグ、靴、時計などを見かけることがあります。
しかし、店頭に並んでいることと、その商品が合法であることは別問題です。
価格が正規品と比べて極端に安かったり、正規販売店ではない場所で高級ブランドのロゴ商品を大量に販売していたりする場合は、模倣品の可能性を疑った方がいいでしょう。
「観光市場だから大丈夫」「昔から売っているから問題ない」という保証はありません。
「本物の工場からの横流し品」は信用しない
東南アジアの市場では、偽ブランド品について、
- 「正規工場から流れてきた」
- 「本物と同じ工場で作っている」
- 「余った在庫だから安い」
- 「品質は本物と同じ」
といった説明を受けることがあります。
しかし、旅行者がその説明の真偽を確認することは困難です。
正規ブランドの製造拠点がベトナムにあるからといって、市場で売られているロゴ入り商品が正規の「横流し品」であるという根拠にはなりません。
「工場流出品だから本物」という店側の説明だけで購入を判断しない方が安全です。
日本に偽ブランド品を持ち帰るとどうなる?

旅行者にとって特に気になるのが、日本へ帰国するときの扱いです。
日本税関は、偽ブランド品など知的財産権を侵害する物品を輸入禁止物品として案内しています。
海外旅行者の携帯品についても、税関は偽ブランド品などの知的財産侵害物品が規制対象になることを注意喚起しています。
そのため、旅行先で「安かったから」「自分で使うだけだから」と購入しても、日本への持ち込み時に問題になる可能性があります。
郵送なら「個人使用」でも輸入できない
特に明確なのが、海外の販売業者から日本へ郵送・宅配などで送られる模倣品です。
2022年10月から、日本では制度が強化され、
個人で使用する目的であっても、海外の事業者から送られる商標権・意匠権侵害の模倣品は輸入できません。
税関が偽物の疑いがある商品を発見すると、知的財産侵害物品かどうかを判断する認定手続が行われます。
侵害品と認定されれば、輸入は認められず、没収対象となります。
「1個だけならOK」とは考えない
日本税関は、知的財産侵害の疑いがある物品について、数量に関係なく認定手続の対象になり得ると説明しています。
また、「偽物とは知らなかった」という場合でも、知的財産侵害物品と認定されれば輸入できません。
よくある誤解
「1個だけなら大丈夫」
「自分で使うから大丈夫」
「お土産なら問題ない」
「偽物だと知らなかったから大丈夫」
こうした自己判断は避けた方がいいでしょう。
大量購入ならさらにリスクが高まる
特に注意したいのが、大量購入です。
同じブランドの商品や時計、衣類、バッグなどを大量に持っている場合、個人のお土産ではなく販売目的・商業目的ではないかと確認される可能性があります。
日本税関では、旅行者の携帯品についても数量や価格などによって一般貨物としての通関が必要になる場合があります。
さらに知的財産権侵害物品を商業目的で輸入する場合には、刑事罰の対象となる可能性もあります。
転売目的で偽ブランド品を大量購入するような行為は避けるべきです。
偽物には安全性の問題もある
偽ブランド品の問題は、ロゴや商標だけではありません。
日本税関も、模倣品について品質や安全性が保証されていない場合があることを注意喚起しています。
特に、
- 化粧品
- 電池・充電器
- 電子機器
- 子ども向け商品
- 肌に直接触れる製品
などは、素材や製造工程が分からないため、単なる「安い偽物」で済まないケースがあります。
パロディ商品も何でも自由ではない
市場では、有名ブランドの名前やロゴを少し変えた「パロディ商品」を見かけることもあります。
しかし「名前を少し変えたから必ず合法」というわけではありません。
商標権、著作権、不正競争防止に関する規定などに抵触するかどうかは、具体的なデザインや表示、販売方法によって変わります。
旅行者が現場で合法・違法を正確に判断するのは難しいため、明らかに有名ブランドを模倣した商品には慎重になった方がいいでしょう。
Superdryは単純な「偽ブランド成功例」ではない
ちなみに、文字やデザインのパロディから有名になった例として「Superdry」を思い浮かべる人もいるかもしれません。
Superdryは英国発の正式なファッションブランドで、日本語風のグラフィックをブランドデザインに取り入れたことで知られています。
日本の特定商品の偽物を販売して成長したブランド、と単純に説明するのは正確ではありません。
そのため、今回の偽ブランド摘発とは分けて考える必要があります。
旅行者が偽ブランドを避けるためのチェック
- 正規品ではあり得ないほど安い商品を疑う
- 高級ブランド品は正規店・正規販売店で購入する
- 「工場の横流し」「本物と同じ」という説明を鵜呑みにしない
- ロゴを無断使用しているような商品は避ける
- 大量購入・転売目的の購入をしない
- 日本へ持ち帰れるか分からない商品は買わない
旅行中は、偽物かどうかを巡って店側と議論する必要はありません。
少しでも怪しいと感じたら購入しない、という判断が最も簡単です。
【追加情報】同じ地域で偽ブランド事件が相次ぐ
今回の2,575点の摘発とは別に、ニンヒエップ周辺では2026年6月に大規模な偽ブランド摘発が相次ぎました。
6月10日には、Gucci、Christian Dior、Louis Vuitton、Hermès、Chanelなどの商標を付したバッグ・財布1,040点が発見されました。
6月13日には、Adidas、Nike、Burberry、Louis Vuitton、Dolce & Gabbanaなどの商標を付した靴類6,146点が摘発されています。
ハノイ地方人民検察院も、フードン地区では偽造商標商品の生産・流通が複雑化しているとして、地方当局へ再発防止策を求めています。
ベトナムで偽ブランドが「普通に見える」場面があっても、当局側では実際に押収・刑事捜査が進められています。
まとめ:安い偽ブランドより旅行を安全に楽しむ
ハノイでは、D&G、Louis Vuitton、Dior、Gucci、Nike、Adidasなどの商標を付した衣料品2,575点が摘発され、その後、店主が知的財産権侵害容疑で立件されました。
今回のポイント
ハノイで偽ブランド衣料品2,575点を摘発。
表示価格総額は約2億6,440万ドン。
店側は合法的な仕入れを示す書類を提示できなかった。
その後、知的財産権侵害容疑で店主を立件。
日本税関も偽ブランドなどの知的財産侵害物品を規制している。
市場で見かける格安ブランド商品は、旅行中には面白く見えるかもしれません。
しかし、購入後に本物か偽物かを確認するのは難しく、日本への持ち帰りや発送で問題になる可能性もあります。
「安いから一つだけ」ではなく、怪しいブランド商品は買わず、その分ベトナムの食事や観光を楽しむ方が安全です。
参考情報
- ベトナム公安省「ハノイ・フードン地区で知的財産権侵害事件を立件」
- Viện KSND khu vực 5 – Hà Nội「Phù Đổng地区における偽造商標商品の摘発状況」
- Dân trí「Hà Nội: Hơn 2.500 sản phẩm thời trang nghi giả mạo nhãn hiệu nổi tiếng」
- ベトナム商工誌「Phát hiện hơn 2.500 sản phẩm quần áo thời trang nghi giả mạo nhãn hiệu tại Ninh Hiệp」
- 財務省・税関「ニセモノは、買わない!持ち込まない!」
- 財務省・税関「模倣品の水際取締り強化」
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。




