
ベトナム・ホーチミン市で、家庭ごみなどの分別ルールが大きく変わろうとしています。
ホーチミン市は、2027年から家庭や事業所などを対象に、ごみの発生源分別を市内全域で本格的に義務化する方針を示しました。
基本となるのは、ベトナムの環境保護法で定められている3つの分類です。
- 再利用・リサイクルできるごみ
- 生ごみなどの食品廃棄物
- それ以外の生活ごみ
ただし、2026年9月時点では「2027年の何月何日から一斉施行」といった最終的な計画まではまだ決定していません。
市の農業環境局が各地区や関係機関の意見を集め、2026年第4四半期に正式な計画を市人民委員会へ提出する予定です。
つまり、「2027年から全市で義務化する方針」は明確ですが、具体的な運用方法は現在も調整中です。
動画でも解説しています
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。
ホーチミン市で2027年から本格化する予定のごみ分別について、どのように分けるのか、罰金はあるのか、旅行者や長期滞在者にも関係するのかを動画でも紹介しています。
記事とあわせて確認してみてください。
2027年からホーチミン市全域で義務化へ

2026年8月26日、ホーチミン市農業環境局のNguyễn Hồng Nguyên副局長は、市内全域でごみの発生源分別を義務化する計画を進めていることを明らかにしました。
対象は一般の住民だけではありません。
- 家庭
- 個人
- 行政機関
- 企業・事業所
- その他、ごみを排出する組織
など、市内全体へ対象を広げる方向です。
これまで一部地域や施設で行われてきた自主的・試験的な取り組みから、全市的な制度へ移行する形になります。
ただし「2027年開始」はまだ最終決定前
ここは今回のニュースで最も重要なポイントです。
ホーチミン市は2027年からの義務化を予定していますが、2026年9月時点では、市としての最終計画が正式公布された段階ではありません。
農業環境局は2026年9月中に、
- 各地区・コミューン
- 収集・運搬事業者
- 関連行政機関
- その他の関係者
から意見を集め、その後、市人民委員会へ計画を提出する予定です。
「2027年から実施予定」と「正式な施行日まで決定済み」は別です。
今後、対象範囲や回収日、容器・袋の扱い、罰則運用などがより具体的になるとみられます。
基本は3種類に分別
ベトナムの環境保護法2020では、家庭や個人から出る生活ごみを大きく3種類に分類することを定めています。
① 再利用・リサイクル可能なごみ
紙、プラスチック、金属、ガラスなど。
② 食品廃棄物
食べ残し、野菜や果物のくず、調理時に出る食品ごみなど。
③ その他の生活ごみ
上記2種類に分類できない一般的な生活ごみ。
これが全国法上の基本的な考え方です。
実は、ごみ分別自体は新しい法律ではない
「2027年から初めてベトナムにごみ分別制度ができる」と考えると少し違います。
ベトナムの環境保護法2020では、すでに家庭や個人へ生活ごみの分別を求めています。
法律では、この分別・収集に関する仕組みを遅くとも2024年12月31日までに実施することが定められていました。
しかし実際には、全国一律で完全に運用できているわけではありません。
地域によって、
- 収集車両が対応できていない
- 分別後の処理施設が十分ではない
- 回収ルートが分けられていない
- 住民への周知が十分ではない
といった事情があり、段階的に制度を整備している状態です。
「分けても最後に一緒になる」が大きな課題
今回の制度で最も大きな課題とされているのが、家庭から出した後のごみの扱いです。
住民が家庭で丁寧に分別しても、収集車がすべて一緒に回収してしまえば、分別する意味が薄れてしまいます。
ホーチミン市でも、この問題は実際に指摘されています。
市内で分別活動に参加している住民からも、
「せっかく分けても、回収時にまた一緒になってしまう」
という声が出ています。
2027年の本格運用で問われるのは、住民が分別できるかだけではなく、市が「分別したまま回収・運搬・処理できるか」です。
収集車や中継施設も変える必要がある
環境保護法では、分別後のごみを再び混ぜないことも重要な原則になっています。
集積所や中継施設は、分別された種類ごとに保管できる構造にすることが求められています。
収集・運搬事業者についても、それぞれのごみに対応した車両や設備を使う必要があります。
ホーチミン市は今後、
- 収集車両の更新
- 中継施設の整備
- リサイクルごみの回収ルート整備
- 処理施設との連携
- ITを使ったごみ管理
などを進める必要があります。
ホーチミン市は1日1万4,000トン以上のごみ
なぜ今、ごみ分別を本格化する必要があるのでしょうか。
背景には、急速に増える生活ごみがあります。
現在のホーチミン市では、1日に1万4,000トンを超える生活ごみが発生しています。
さらに、処理されるごみのうち埋め立てが占める割合も依然として高く、約60%に達するとされています。
既存の埋立地にも限界が近づいており、
- リサイクル
- 食品廃棄物の再利用
- ごみ発電
- 埋め立て量の削減
へ移行することが重要になっています。
分別しないと50万~100万ドンの罰金規定

ごみ分別については、罰則規定もすでに存在します。
ベトナム政府の政令45/2022/NĐ-CPでは、家庭や個人が規定どおりに生活ごみを分別しなかった場合や、指定された袋・容器を使用しなかった場合、
50万~100万ドン
の罰金対象になる可能性があります。
日本円では為替によって変わりますが、数千円程度です。
ただし、2027年のホーチミン市の全市展開で、いつからどの程度厳格に取り締まるのかについては、まだ正式には決まっていません。
「2027年1月1日から分別しなければ即罰金」という段階ではありません。
回収業者が「回収を拒否」できる規定もある
罰金だけではありません。
環境保護法では、規定どおりに分別されていない生活ごみについて、収集・運搬業者が回収を拒否し、行政へ報告できる仕組みも定められています。
本格運用された場合は、
- 分別していないごみを回収してもらえない
- 行政から確認を受ける
- 罰金などの対象になる
といった可能性も制度上はあります。
【追加情報】9月1日から「分別すると料金にも違い」
2027年の本格義務化を前に、ホーチミン市ではすでに新しい動きが始まっています。
2026年9月1日から、市全域で新しい生活ごみの収集・運搬料金制度がスタートしました。
現在の制度では、家庭がごみを適切に分別しているかどうかで料金の計算方法が変わります。
正しく分別している場合
ごみの重量をもとに料金を計算。
未分別・分別方法が不適切な場合
世帯人数や標準的な排出量などをもとに定額方式で計算。
つまり、分別をきちんと行い、処分するごみ自体を減らせば、料金負担を抑えられる仕組みに近づいています。
特にリサイクルできるものを分ければ、最終的に処理する一般ごみの量を減らすことができます。
アルミ缶やペットボトルは以前から回収されてきた
ベトナムでは、行政による分別制度とは別に、昔から空き缶、ペットボトル、段ボール、金属類などを回収する民間・個人のリサイクル経済があります。
街中で、大きな袋や台車を使って資源ごみを集めている人を見たことがある旅行者もいるでしょう。
アルミ缶や金属、紙などは換金できるため、こうした非公式の回収ルートがベトナムのリサイクルを支えてきた側面もあります。
今後は、この既存のリサイクル活動と行政の正式な回収制度をどのように組み合わせるかも課題になりそうです。
旅行者にも関係する?
一般的なホテルに数日宿泊する旅行者の場合、今回の制度変更による直接的な影響はそれほど大きくないと考えられます。
ホテルでは施設側がごみをまとめて管理し、契約する収集業者へ引き渡すためです。
一方、
- Airbnbや民泊
- サービスアパートメント
- コンドミニアム
- 長期賃貸住宅
などで生活する場合は、建物や地域のごみ出しルールを自分で守る必要が出てくる可能性があります。
民泊・コンドミニアムでは管理人の指示を確認
ホーチミン市で長期間滞在する場合は、ごみを出す前に建物側のルールを確認するのがおすすめです。
- リサイクルごみを分ける必要があるか
- 生ごみを別の袋にする必要があるか
- 指定されたごみ袋があるか
- ごみを出せる時間が決まっているか
- ごみ置き場がどこにあるか
日本と同じ方法とは限らないため、自己流で細かく分類するより、まず建物やホストの指示に従う方が確実です。
「日本ほど細かく分ける制度」になるとは限らない
日本の自治体では、燃やすごみ、燃やさないごみ、びん、缶、ペットボトル、プラスチック、紙類など、さらに細かく分類する地域があります。
今回のホーチミン市の制度は、現時点では全国法に沿った大きく3分類が基本です。
そのため、「日本のように曜日ごとに十数種類へ細かく分ける制度がそのまま導入される」という話ではありません。
ただし、「その他の生活ごみ」をさらにどう分類するかについては地方政府が具体的なルールを決めることができるため、今後の正式計画を確認する必要があります。
以前には「2分類へ簡素化」の案もあった
ホーチミン市では2026年春、住民が実行しやすい制度にするため、
- 再利用・リサイクル可能なごみ
- それ以外のごみ
という2分類へ簡素化する案も検討されていました。
一方、2026年8月に示された2027年全市義務化の方針では、環境保護法が定める3分類を前提とする説明がされています。
このため、
最終的にホーチミン市がどの程度細かい分類方法を採用するのかは、正式計画の公表を待つ必要があります。
ごみ分別は「住民だけ」の問題ではない
今回の制度を成功させるためには、住民の努力だけでは不十分です。
家庭でごみを分けても、最後に回収車や処理施設で混ざってしまえば制度は機能しません。
住民:決められた方法で分別する
行政:分かりやすいルールを整備する
収集業者:種類ごとに分けて回収・運搬する
処理業者:リサイクル・食品利用・適切な最終処理につなげる
この一連の流れがつながって初めて、本当の意味でのごみ分別になります。
今後確認したいポイント
- 正式な開始日
- 最終的な分別カテゴリー
- 指定ごみ袋・容器の有無
- 地域ごとの回収曜日・時間
- コンドミニアムや集合住宅でのルール
- 罰金を実際に適用し始める時期
- 分別後の収集・運搬方法
特に2027年にホーチミン市へ長期滞在する予定がある人は、実施直前の最新情報を確認した方がいいでしょう。
まとめ:2027年の全市義務化へ、最大の課題は「回収後」
ホーチミン市は2027年から、生活ごみの発生源分別を全市で義務化する方針です。
今回のポイント
2027年から全市で義務化する方針。
ただし正式な実施計画は2026年9月時点で策定中。
全国法の基本は「リサイクル」「食品廃棄物」「その他」の3分類。
未分別には50万~100万ドンの罰金規定がある。
2026年9月1日から新しいごみ収集料金制度も開始。
住民だけでなく、収集・運搬・処理システムの整備が最大の課題。
ホテルを利用する一般的な旅行者への直接的な影響は限定的とみられますが、Airbnbやコンドミニアムなどで生活する長期滞在者には身近なルールになる可能性があります。
本当に重要なのは「家庭で分けること」だけではなく、分けたごみを最後まで混ぜずに回収・処理できる仕組みを作れるかどうかです。
参考情報
- VnExpress「TP HCM dự kiến bắt buộc phân loại rác tại nguồn vào 2027」
- Báo Nông nghiệp và Môi trường「TP.HCM dự kiến phân loại rác tại nguồn bắt buộc từ năm 2027」
- ベトナム司法省「Luật Bảo vệ môi trường 2020・Điều 75」
- ベトナム司法省「Nghị định 45/2022/NĐ-CP」
- ホーチミン市「Quyết định 65/2026/QĐ-UBND」
- ホーチミン市公報「Quyết định 58/2025/QĐ-UBND」
- ベトナム環境局「TP.HCM: Thí điểm phân loại rác tại nguồn thành 3 loại」
この記事は、当YouTubeセカンドチャンネル動画をもとにしています。




